
活動情報
2026.5.19
ピープルアナリティクス推進研究会#1に登壇しました
クニラボ代表の武田邦敬が、2026年5月19日に開催されたイベント「ピープルアナリティクス推進研究会 #1」に登壇いたしました。
このイベントは、3月23日に改定された「人的資本可視化指針」を読み解く試みで、ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の上席研究員があれこれ対談しながら実践を目指すというものです。
イベント名:ピープルアナリストは人的資本可視化指針(改訂版)をどう読んだか?
登壇者: 藤澤 優、武田 邦敬
主催: 一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会
開催場所: オンライン開催
開催日: 2026年5月19日(火)
1時間という時間枠の中で、①人的資本可視化指針の経緯、②改定のポイント、③経営と人事の連動における課題、④指針に書かれなかったこと(AI関連)というトピックスが盛り込まれ、非常に密度の濃い対談となりました。
個人的に気づきがあったのは、開示情報の比較可能性と独自性のバランスに関する議論です。
人的資本可視化指針では、投資家を中心としたステークホルダーが情報を比較できるように開示しつつも、独自性のある人事施策も開示すべきということが書かれています。これは、捉え方によってはあいまいな指針と感じる人もいるようです。
私はこの問いに対しては、次のような考えを持っていました。
比較可能性に対する要件は投資家が求めるもので、自然に感じられる。
独自性については確かに比較に耐えられる情報とならないかもしれないが、その企業の開示の履歴を見たときに、変遷を見れればよいのではないか。
どこまでオープンにし、どこからクローズにするかというのは企業の選択。つまり、経営戦略に他ならない。その意味で、IPの開示戦略などに似ている。
この考えの背景には、「人事情報は基本的に秘匿するものであり、その上でどこまで開示するかは社会の要請や会社の戦略によって選ぶもの」という考えがありました。
一方、対談の中では、人事情報を基本的に秘匿するという考え方自体が、直線的な考え方かもしれないという指摘がありハッとしたのです。この指摘は盲点でした。
明日が過去の延長にあるとは限らないということです。これは、ある意味で、ピープルアナリティクスが立ち向かっている問題構造と似ています。前例踏襲な人事施策を「仮説」とし、ファクトから検証することがピープルアナリティクスの役割だからです。
これをグローバルなスケールで考えてみると、必ずしもこれまでのガバナンスのあり方がそのまま進んでいくとも、ゆっくり変化していくとも限らない。変わるときにはあっという間に変わってしまうでしょう。
その意味で、人的資本可視化指針についても、その誕生の背景や周辺の議論を注意深く見ておく必要があると痛感しました。特に、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)基準や、国内版のSSBJ基準をウォッチする必要性を強く感じました。
また、対談の後半ではAIと人的資本のかかわりについて議論がありました。これは非常にホットなテーマで私自身関心を持っています。
私は人をAIで置き換えるという発想よりも、ビジネスモデルの変革をも合わせて考えるべきという考え方をもっています。その方法は、業務フローやタスクを洗い出すところから考えるという非常に古典的なアプローチがポイントになります。
その一方で、しがらみのないスタートアップはゼロベースでAIネイティブなビジネスモデルと組織を作るかもしれません。そうした新しい風を捕まえて、いかにして組織にインプリメントしていくのか、というのが今のビジネスリーダーに求められることではないでしょうか。
ここで書いた大きな流れを眺めつつ、伴走支援の現場で起きていることにしっかり目を向けていきたいです。それが、「すでに起こった未来」を見通す目になると確信しています。